時代を超えた幻の有馬記念、開幕。

歴代最強馬はだれか？おそらく競馬ファンなら誰もが考えたことがあるでしょう。

これまで多くの競馬ファンは独自の見解に基づき最強馬を論じてきましたが、異なる時代に走っていた馬を一緒に走らせることは不可能なので、結局その答えは永久に謎と思われてきました。

そこで我々はその水掛け論に終止符を打つべく、予測システムの開発で培ってきた人工知能技術により歴代のスターホース達が一堂に会する幻のレースをシミュレーションしようと考えました。

今回はその試みの第1弾として、今週末に行われる有馬記念の2000年から2015年までの歴代優勝馬14頭が出走する幻の有馬記念を再現します。

条件設定

幻の有馬記念は、過去の有馬記念優勝当時の状態の馬が同じコースを同時に走ったときの結果をシミュレーションすることが目的です。そのための馬の状態やコース条件の設定について説明していきます。

有馬記念のコースは毎年中山芝2500mで行われますが、馬場状態、天候などの細かい条件は開催ごとに異なるので、なるべく公平になるように以下のように設定します：

草丈についてはJRDBのデータに収録されている2002年以降に行われた有馬記念の草丈の平均値を使います。

各馬の有馬記念優勝時点における過去成績を用います。例えば幻の有馬記念に出走するテイエムオペラオーの前走は2000年のジャパンカップ（G1）です。また、過去何走まで見るかは現在のAlphaImpactで採用しているアルゴリズムにより推定した数に設定しています。

騎手についても同様に、その有馬記念優勝当時の成績を用います。

2回優勝している馬については、2着との秒差がより大きい年代の条件を使用します。具体的には、シンボリクリスエスは2003年、オルフェーブルは2013年当時の状態で出走します。

年代順に優勝当時の馬番を順に割り当てます。すでに馬番が埋まっている場合は、余っている馬番の中のうち最も近い数字を年代順に割り当てます。

幻の有馬記念のシミュレーションには、AlphaImpactの予測システムと同様に深層学習（ディープラーニング）を用います。

ディープラーニングは、生物の脳神経回路を模した人工ニューラルネットワークを使った計算により未知の事象を推論する機械学習アルゴリズムです。詳細な説明は今後の理論解説の中でしますが、ディープラーニングを使うと出走馬のデータからそのレースの結果を予測することができます。

毎週公開している予測のモデルは、独自に考案したファクターを目的変数として解いていますが、今回はレース展開や走破タイムを予測するため、以下の目的変数で学習を行います。

上記で予測された展開を可能な限り滑らかに結合してシミュレーションします。

また出馬表に記載している人気を算出するために、単勝人気順位を目的変数とした予測モデルも作成しました。

芝右2500m / 天候: 晴 / 芝 : 良 / 発走予定 : 12月23日（金）19:40頃

※ 一部誤表記があったため以下の修正を行いました。

2016/12/20: ゼンノロブロイの年齢を5→4に修正

2016/12/20: テイエムオペラオーの年齢を現行制度に従い5→4に修正

2016/12/20: ヴィクトワールピサの年齢を5→3、斤量を57→55に修正

2016/12/25: オルフェーブル → オルフェーヴルに修正